
投資物件にプロパンガスを入れるメリット・デメリット
電気や水道と並んで重要なインフラであるガス。社会基盤として、なくてはならないものです。ガス事業に都市ガスとプロパンガスがあるのは、多くの人はご存知でしょう。ただ、このふたつのガスが不動産投資の面では大きく違うことはあまり知られていません。ここでは、不動産投資におけるプロパンガスやプロパンガス業者を選ぶことのメリットとデメリットについて考えていきます。
目次
プロパンガス業者の3つのメリット
賃貸アパートや賃貸マンションを新築する際に都市ガスかプロパンガスかを選ぶ局面が訪れます。プロパンガス業者は、オーナーにとっていくつかのメリットがあるものです。ここではプロパンガス業者のメリットについて考えていきます。
初期費用をプロパンガス業者が負担
プロパンガスを導入する際、プロパンガス業者が設備やメーターなどの初期費用を負担してくれることがあります。なるべく設備投資を安く上げたいオーナーにとってありがたい話です。その結果、物件の利回りが向上するのですから、その話に飛びつくオーナーも現れます。
インターホン、インターネット設備を提供してくれることも
提供してくれるのはプロパンガス設備だけではありません。プロパンガス業者は他の設備を扱っていることもあります。例えばインターホン、wi-fiなどのインターネットに関する設備などです。こうしたプロパンガス以外の設備も提供してくれるとなると、オーナーの気持ちがプロパンガスに傾いてしまうこともあります。
火力が強い
こちらは入居者にとっての利点になります。実はプロパンガスのほうが都市ガスよりも火力が強いのです。飲食店などはわざわざプロパンガスを選ぶ場合もあります。東邦ガスのサイト(https://tg-uchi.jp/topics/3818)によると、プロパンガスの熱量は1㎥あたり24,000kcal、都市ガスは11,000kcalです。強い火力で素早く料理ができるのがプロパンガスのメリットとなっています。
プロパンガス業者の3つのデメリット
プロパンガスはメリットばかりではありません。入居者の負担額をはじめ、金銭面では負担が大きくなるのです。プロパンガスにこだわると、入居者に敬遠される物件になってしまう可能性も。どんな点がプロパンガスのデメリットなのか考えていきます。
設備費用が料金に転嫁
さきほど、初期費用を無料でガス設備を取り付けてくれるお話をしました。その設備費用をプロパンガス業者はどこから回収するのでしょうか。それは入居者からの利用料金に上乗せしているのです。単身者を中心にプロパンガスの物件は敬遠する動きさえ起こってしまいます。
ガス利用料金が割高
プロパンガスの料金・価格比較サイト「enepi -エネピ-」(https://enepi.jp/)によれば、都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(3人暮らしの場合)は以下のようになります。
月間 |
年間 |
|
都市ガス |
¥4,612 |
¥55,344 |
プロパンガス |
¥7,404 |
¥88,852 |
差額 |
¥2,792 |
¥33,508 |
およそ1.6倍もの差です。プロパンガスのほうが都市ガスよりも利用料金が高いことはすでに入居者にも知れ渡っています。国の制度も変わりました。2017年よりガス会社は利用者に対して、オーナーとの契約内容を含めてガス料金の明細を開示する必要があります。設備費用が上乗せされているとそれも記載されるのです。
中途解約の場合、設備費用を負担する場合も
設備は無料で取り付けてくれても、途中で契約を解除する場合には設備費用をオーナーが負担しなければならない場合があります。典型的なのは、契約途中でプロパンガス業者を変更する場合です。プロパンガス業者も途中解約されては儲かりません。このため、解約されにくいような契約内容にしておくのです。
まとめ
都市ガスは文字通り都市部を中心に普及しています。一方、プロパンガス業者も生き残りに必死です。プロパンガスはオーナーにとって多くのメリットがあるものの、安易にプロパンガスを選択できない状況となりつつあります。初期投資と利用料金のバランスをとる必要があるのです。こうしたバランスも考えたうえで選択するようにしましょう。