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新型コロナウイルスが賃貸経営に及ぼす影響は?賃貸オーナーが取るべき対策とは?

一時期収まりを見せた新型コロナウイルスですが、7月以降再び感染拡大の動きを見せています。ワクチンの完成・導入の見通しが立たない今、新型コロナウイルスによる経済・生活への影響は今後も中長期で続くことが予想されます。新型コロナウイルスの感染拡大で、賃貸経営にはどのような影響が出てくるのか?また、賃貸オーナーが取るべき対策とは何か?解説させていただきます。

1.新型コロナウイルスが賃貸経営に及ぼす影響

➀「家賃滞納」「減額要請」などの家賃問題

今回の新型コロナウイルスは、不要不急の外出自粛、飲食店の営業自粛など人々の生活様式・経済活動に大きな影響を与える自粛要請が数多くでています。

その影響で企業の倒産・解雇が相次ぎ、賃貸経営においては「家賃滞納」「減額要請」が多く出ています。

「企業経営の悪化」→「給与・雇用への影響」→「入居者の生活に影響が出てくる」といった段階を経ることから、一般的に不動産業界への影響は遅れて発現すると言われており、実際に影響が出てくるのは半年~1年程度になることが予想されます。

➁引越需要が減り、退去後空室期間が長くなる

コロナウイルスの影響により、企業の転勤辞令が延期されたり、通常の引っ越しも見合わせる動きが出てきたりしています。実際、賃貸業界の繁忙期である2~3月の引っ越し件数は3~4割減ってしまったというデータもあります。

また、外出自粛の影響で来店・内見を見合わせる動きもあり、入居希望者が実際に部屋探しをする期間・引っ越しをする期間が後ろ倒しになる傾向も見られています。 その結果、退去後入居が中々決まらず、空室期間が通常より長くなる傾向があります。

➂ライフスタイルの変化により、賃貸物件に求めるニーズにも変化

リモートワークや在宅授業など自宅で過ごす時間が長くなることから、「インターネット無料」がついている物件の問い合わせや騒音トラブル防止のための「戸建賃貸」への反響が増えているなど、賃貸物件に求めるニーズにも徐々に変化が出ています。 宅配業者と非接触で荷物を受け取れる「宅配ボックス」やゴミの増加による「24時間ゴミ捨て可能なゴミBOX設置」のニーズも高まっています。

2.賃貸オーナーが今取るべき「新型コロナウイルス」対策

➀家賃滞納対策:国の補助制度を活用する

家賃滞納の理由がコロナウイルスに起因するものである場合、入居者は国の補助制度を活用することができる可能性があります。

<個人入居者向け>

「住居確保給付金」:離職、廃業、休業等による収入の減少により住居を失った方、または失うおそれの高い方に、原則3ヶ月間、家賃相当額を支給する制度 借主が申請すれば、自治体から家主に直接家賃が支払われる仕組みであるため、安心して利用することができます。

<事業者向け>

「家賃支援給付金」:資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者や医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など会社以外の法人、フリーランスなども幅広く対象にしている制度で、コロナウイルスの影響で売上が大幅に減少した企業に対し、法人には最大600万円、個人には最大300万円の家賃支援給付金が支払われる制度 入居者が家賃滞納や減額を要請してきた場合は、このような国の補助制度の活用を提案することをおすすめします。

入居者がこのような制度を把握していない場合もあるので、相談を受けたらまず国の補助制度活用を提案してみましょう。

➁長期空室防止対策:オンライン接客などを行っている賃貸仲介会社にも募集を依頼する

今回のコロナウイルスで現在不動産業界は「オンライン内見」「Web接客」といった新たな接客方法が一気に導入される流れとなっています。

外出自粛の理由により部屋探しをストップする入居希望者もサポートできるような体制を整えている賃貸管理会社に募集を依頼し、少しでも早く入居が決まるよう働きかけるのも一つでしょう。

新たな接客方法を導入している賃貸管理会社には、入居希望者も殺到しやすいです。 そのため、この機に管理会社・募集会社を見直すのもおすすめします。

➂商品力強化対策:新たな生活様式に合わせた設備の導入で選ばれる物件になる

先程も述べたように、自宅で過ごす時間が長くなったことから入居希望者が賃貸物件に求めるニーズにも変化が出てきています。その変化をいち早くキャッチし物件に取り入れることで、コロナを逆手にとった商品力強化対策も重要です。

同じエリアにある競合物件を見て、「インターネット無料」や「宅配ボックス」「24時間ゴミ捨て可能なゴミBOX」の設置を導入している物件が少ない場合は、導入を検討することをおすすめします。

また、反響が大きく増えている「戸建賃貸」物件の購入もおすすめです。

3.まとめ

コロナウイルスは、賃貸経営において➀家賃滞納・減額要請などの問題や②退去後の空室長期化問題、➂賃貸物件への新しいニーズの変化などの影響を及ぼしています。これらは、事前に情報を集め、対策しておけばクリアできる問題です。何か起こってから対処するのではなく、先手で対策を取れるようぜひ管理会社と連携して行動してみてください。

弊社でも実際の事例をもとにコロナ対策を検討することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。