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物件購入時の良い指値悪い指値

不動産を購入する際に売却希望価格よりも安い金額を指定して買い付けを出すことを指値(さしね)といいます。いわば値引き要求です。この指値、うまく行けば物件を安く購入できます。ただし、無理な要求だと売主がへそを曲げてしまうことも。指値は交渉術の一環なのです。今回はこの指値について考えてみます。

 

指値の現状は

指値というと値引きの要求です。お店で値切り交渉をするのが得意な人もいますが、中には苦手な人もいます。高額物件ではよく行なわれる根切りや指値。不動産の現場ではどのようにとらえられ、どの程度の指値が行なわれているのでしょうか。現場の実態を調査しました。

指値は悪いことではない

一般的にコンビニエンスストアで値引き交渉をすることはありません。ですが、自動車、家電品をはじめ不動産の購入でもさかんに値引き交渉が行なわれています。不動産は工業製品ではないため、原価という概念がありません。売主からの提示価格もあくまで希望価格なのです。売主も指値されることを前提に価格をつけていることもあります。指値をするのは気が引ける、という人もいますが、指値自体は悪いことではないのです。

中古マンションの指値は7%弱

収益物件ではないものの、公益財団法人東日本不動産流通機構が中古マンションの新規登録価格と成約価格のデータを公開しています。

【首都圏の中古マンションの価格推移】

 

2019年

1~3月

4~6月

7~9月

10~

12月

2020年

1~3月

4~6月

7~9月

新規登録㎡単価(万円)

57.08

57.88

57.48

57.32

57.43

57.11

57.44

成約㎡単価(万円)

53.07

52.67

53.72

54.47

54.91

52.47

55.63

割合

93.0%

91.0%

93.5%

95.0%

95.6%

91.9%

96.8%

公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年07~09月)」より作成

これによると、新規登録価格と成約価格には、91%から97%程度の格差があります。この格差の平均は93.8%です。これは新規登録価格に対して指値や値引きが行なわれたことを表しています。こうしてみると1割まではいかないまでも、約7%の指値が行なわれているのです。

 

良い指値と悪い指値

ここでは、良い指値を売主が納得してくれる指値、悪い指値を売主が怒ってしまうような指値、とします。売主の希望価格と指値の差が小さければ、指値が通りやすくなるものです。ただ、これ以外にも良い指値と悪い指値を分けるものがあります。指値の良否について考えてみました。

良い指値とは

売買希望価格との差が小さいものは当然通りやすくなります。また、売主が想定していた値引き額以内であれば同じく通りやすくなるものです。数字の切りがよかったり、利回りの切りがよかったりするのもよい指値といえます。相手の立場や想定価格を読むと良い指値となるのです。

悪い指値とは

安く物件を購入できればその分利回りは向上します。物件は安ければ安いほど有利なのです。だからといって自分本位な指値をしてしまうと、相手を怒らせてしまいます。物件の相場を無視した指値も同じです。相手の立場や考え方をわきまえない指値は嫌われます。最悪の場合、交渉は決裂です。相手を怒らせないギリギリのところを攻めるのが理想的な指値をいえます。

 

良い指値をするには

指値をするからには、良い指値をして物件を購入したいものです。しかし、いくらで指値をしたらよいかはベテランの投資家でもなかなかわからないもの。ここでは良い指値をするためにどんな点に着目したらよいかをお話しします。市場に出回っている期間である程度の当たりをつけることもできるのです。

市場滞留期間が長いものが通りやすい

ずっと市場に出回っている物件は売主も早く売却したいと考えているもの。市場に滞留している期間の長い物件は指値が通りやすい傾向にあります。中には大幅な値引きが期待できるものも。売り物件として出ているということは、売主も何らかの事情で売りたいはずです。それがなかなか売れないと売主もあせりが出てきます。そんなときは指値が通りやすいのです。

売りに出たばかりの物件は原則通りにくい

さきほどとは逆に、売り物件として登録されて間もないものは指値が通りづらいものです。売主もまだ強気ですし、多くの買い希望者の意見を聴くためにも簡単には指値に応じません。ただ、急な資金需要があって売り急いでいる場合は例外です。とにかく現金が欲しい場合には、値引きしてでも売却したい場合もあります。ただし、その見極めは相当難しいので仲介業者に事情を聴いてもらいましょう。

簿価やローン残高での縛りがある場合も

売主にも指値に応じたくても応じることができない事情を抱えている場合もあります。例えば簿価です。帳簿上の価格以下で売却すると損失が生じます。企業はこうした損失はできるだけ回避しようとするのです。ローンがある場合も同じような状態です。売却金額でローンを返済できないような価格では売却はしません。

 

まとめ

物件を購入するからには、なるべく安く買いたいものです。そのために指値は欠かせません。ただ、あまりに安すぎる指値をして破談にしてしまうのももったいない話です。指値は結局腹の探り合い、交渉術のひとつになります。交渉は自分だけの都合で決められるものではありません。相手の都合にも配慮し、良い指値をして物件を購入できるようにしましょう。