
不動産投資で法人化を検討するタイミングとは?メリット・デメリットを解説!
物件購入を検討されているお客様からよくご相談をいただくのが「法人化」についてです。
そこで、今回は不動産投資における個人と法人の違いについてや法人化のメリット・デメリット、法人化を検討するタイミングについてご紹介します。
目次
1.不動産投資における法人化とは?個人と法人の違いは?
不動産投資における法人化とは、「資産管理会社」を設立し、法人が物件を買って所有することを言います。
個人で行う場合と法人で行う場合では大きく下記のような違いがあります。
- 税率が異なる
- 損失が出た時の繰り越し期間が異なる
- 融資対策上プラスになりやすい
2.法人化のメリット
①法人税は所得税に比べて税率が低い
個人で行う場合は所得税が課されるのに対し、法人の場合は法人税が課されます。
個人の場合、不動産を保有して得た収入は「不動産所得」として計上され、売却時の収入は「譲渡所得」として計上されます。不動産所得は住民税と合わせると最大55%の税率が課され、譲渡所得は所有期間が5年以下の短期譲渡取得の時に住民税と合わせると約39%、5年以上の長期譲渡取得の時に約20%の税率となっています。
一方、法人の場合、不動産保有時も売却時も法人税として計算できるため、税率は最大約38%になります。
■個人の所得税と住民税を合算した税率表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円以下 | 15% | – |
195万円超~330万円以下 | 20% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 30% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 33% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 43% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 50% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 55% | 4,796,000円 |
■法人税の税率
課税所得金額 | 税率 |
---|---|
~400万円以下 | 約22% |
400万円超~800万円以下 | 約25% |
800万円超 | 約38% |
②損失が出た時、最長9年間繰り越しができる
個人の場合、青色申告をしていると損失を3年間まで繰越すことができます。
一方、法人の場合、同様に青色申告を行った場合、最長9年まで損失を繰り越せます。
大赤字を出してしまった場合も、9年の間で調整ができるので戦略的に申告することができるのです。
③融資の対策上プラスになりやすい
「減価償却」と言われる、長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって経費計上する方法がありますが、個人と法人では違いがあります。
個人の場合、減価償却は強制的に必要経費に算入されますが、法人は限度額の範囲内であれば償却費を調整して計上することができます。そのため、過少に申告されて残った部分は、次年度以降に償却することができ、利益を調整することができます。
そのため、利益を重視する融資審査でも有利に進めることができます。
ただ、一部の金融機関ではマイナスの評価を受けてしまう場合もあるため、調整は必要です。
3.法人化のデメリット
①設立手続き・運営時に費用がかかる
一般的に、設立時には定款作成費用や設立登記費用で約25~30万円の費用がかかります。また、設立するためには、複雑な経理処理が必要になることから、税理士に依頼する費用が発生することもデメリットと言えます。さらに、均等割りという地方税を支払う義務があり、資本金1,000万円以下の場合は7万円、1,000万円超えの場合は約18万円費用がかかります。(地方税のため、各地方自治体により金額は若干異なります)そのため、ある程度設立・運営維持費に余裕がある場合に法人化をすることをおすすめします。
②長期譲渡所得の優遇制度が利用できない
個人の場合、所有期間が5年以上の長期譲渡の場合税率が20%になりますが、法人の場合は短期・長期など期間に関係なく一律に課税がされます。
そのため、5年を超えて保有した物件を売却する場合は、法人より個人の方がおすすめです。
③副業と見なされる場合がある
サラリーマンや公務員の方が設立した法人から役員報酬をもらう場合、会社によっては副業規定に違反する場合があります。
個人で行う場合は、不動産収入は不動産所得と見なされ、副業と見なさない会社がほとんどです。そのため、サラリーマンや公務員の方が法人化を検討されている場合は、まず副業規定を確認してから行うようにしましょう。
4.法人化を検討するタイミングとは?
法人化を検討するタイミングは、ずばり「課税所得が900万円あるか、ないか」のタイミングです。
理由は、個人と法人の税率が逆転する課税所得が900万円だからです。
個人の不動産所得だけで900万円を超えている場合や、年収1,000万円程度の方はすでに給与だけで税率30%に達しているため、初めて物件を購入する場合でも法人化した方が節税できます。
法人化には設立・運営に費用はかかるものの、節税や融資対策によい影響が多いです。
不動産投資Laboratoryでは、法人設立の相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。