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不動産投資で収益還元法を抑えるメリット

不動産価格の評価方法のひとつに収益還元法があります。

収益還元法とは、不動産の収益性に着目した評価方法で、投資物件の価格算定においてもっとも利用されている手法です。

不動産の価格を知ることは、不動産投資を行う人にとって重要ですが、具体的な価格の算出方法を理解しておけば、その物件が投資対象として優良かどうかの見極めができるようになるでしょう。

本記事では、不動産投資家が収益還元法の意味や計算歩法を理解するメリットについて、詳しく解説していきます。

 

収益還元法の種類

 

収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類の方法があります。

以下にそれぞれの特徴を説明します。

【直接還元法】

直接還元法とは、1年間の不動産の利益を還元利回りで割り、不動産価格を求める方法です。

計算式で表すと、下記の通りです。

 

・1年間の不動産の利益÷元利回り

 

ここでいう「1年間の不動産の利益」とは、不動産の年間家賃収入から年間経費を引いた額です。

「還元利回り」は、キャッチプレートとも呼ばれており、投資物件の資産価値を評価する手法のひとつで、投資物件から得られる利益と、将来の利益を算出する際の指標となる数値です。

還元利回りの計算は大変複雑なので、具体的な計算式については割愛しますが、一般的には類似不動産との取引事例を比較して求めることが多いです。

参考に、J-REIT 取得不動産における還元利回りの用途別平均値および標準偏差の数値を見てみましょう。

用途

平均

標準偏差

オフィス

4.43%

0.65%

共同住宅

4.87%

0.51%

商業施設

4.87%

0.93%

物流施設

4.93%

0.51%

ホテル

5.24%

0.78%

ヘルスケア施設

5.28%

0.66%

※一般財団法人土地総合研究所「投資用不動産の還元利回りに関する実態分析~J-REIT を例に(J-REIT 取得不動産の還元利回りの用途別平均・標準偏差)2019年10月」より引用

 

平均値ではありますが、大体4.5~5.5%で収まっているのがわかると思います。

還元利回りは地価が上昇すると下がり、地価が低下すると上がるという特徴があります。

また空き室リスクなどが高い場合、還元利回りは高くなり、逆にリスクが少ない場合は還元利回りは低くなります。

投資物件を探す場合、還元利回りは平均値より高い5~8%程度を目安として考えておくと良いでしょう。

 

【DCF法】

DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)は、将来発生する収益と売買価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法です。

DCF法を用いる場合、「割引率」という値を算出する必要があるため、直接還元法より正確な価格を導き出せます。

ただし、将来の利益を含むため、非常に複雑な計算式になります。

実際にDCF法を用いるのは、不動産鑑定士などの専門家である場合が多く、一般の不動産投資家が具体的な計算式まで理解するのは困難でしょう。

そこで以下に表す簡単な計算式を覚え、考え方だけは理解するようにしましょう。

 

・収益価格 = 毎期の純収益の現在価値の合計 + 復帰価格の現在価値

 

不動産投資家が収益還元法を理解するメリット

 

次に不動産投資家が収益還元法を理解するメリットについて解説します。

まず収益還元法の意味や計算方法を知ることによる最大のメリットは、自ら投資物件の価格の算出が可能になるという点です。

実際に売買されている投資物件の価格が、適性かどうかの判断ができるようになりますので、不動産投資で失敗するリスクが軽減できるでしょう。

なお、ご説明しました通り、直接還元法とDEF法では、DEF法のほうが正確な数値が導き出せます

しかし、計算が複雑であること、現在の日本が長期に渡り低金利の状態を維持していることなどを踏まえ、直接還元法の利用が多くなっています。

そのため、DEF法を用いた計算ができなくても、直接還元法を理解しておけば十分でしょう。

もうひとつの大きなメリットは、銀行から受けられる融資金額が想定できるという点です。

なぜなら、銀行が融資を決める際は、投資物件の評価額を重要視しますが、この際の評価額の算定でも収益還元法が使われることが多いからです。

したがって、収益還元法によって物件の評価額を知っておけば、銀行からの融資金額の予想ができるようになります。

銀行の融資額を事前に把握できれば、必要となる頭金や毎月の返済金額なども、ある程度予想がつきますので、投資物件の選定がしやすくなるでしょう。

 

まとめ

今回は不動産投資を行う人が、収益還元法を理解しておくべき理由について解説しました。

もう一度、ご説明した内容のおさらいをします。

・収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類の方法がある

・現在は直接還元法が一般的である

・収益還元法を知っておくと、投資物件の金額の計算が可能になる

・収益還元法を知っておくと、銀行の融資金額の予想ができる

収益還元法を理解しておけば、不動産投資で失敗するリスクを抑えられます。

計算方法が理解できたら、物件購入を決まる前に、自分で一度計算してみることをおすすめします。

もしかすると、収益還元法により求めた金額と乖離した額で売買されている可能性もありますので、注意が必要です。

本記事が不動産投資を考えている人の一助になれば幸いです。