
アジア諸国に不動産投資するには
今や不動産投資は世界規模で行なわれています。特に注目されるのは、成長著しいアジア諸国です。その中でも東南アジアの国々は都市部を中心に開発がさかんに行われています。そんな国々も2020年の新型コロナウイルス感染症では経済に大きな影響を受けました。データを元にアジア諸国への不動産投資の可能性を探っていきます。
目次
アジアの各国のGDP成長率を比較
まずは各国のGDP成長率です。
2019年 |
2020年 |
2020年 第四四半期 |
|
シンガポール |
1.3% |
-5.4% |
-2.4% |
マレーシア |
4.3% |
-5.6% |
-3.4% |
タイ |
2.3% |
-6.1% |
-4.2% |
フィリピン |
6.0% |
-9.5% |
-8.3% |
ベトナム |
7.0% |
2.9% |
4.5% |
インドネシア |
5.0% |
-2.1% |
-2.2% |
日本 |
-0.1% |
-4.6% |
2.8% |
※The World Bank Data「GDP growth」を参照して作成
ベトナムを除いて、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、経済は低迷しました。特に観光に力を入れているフィリピンの打撃は深刻です。2019年まではほとんどの国で高い成長を遂げてきました。2020年にブレーキがかかった格好です。とはいえ、2020年の第四四半期はマイナス成長の数値が縮小傾向となっています。これから回復傾向に向かうのか注目です。
アジアの各国の人口増加率を比較
各国の人口増加率です。
2011年から2015年 |
2016年から2020年 |
|
シンガポール |
1.721% |
0.990% |
マレーシア |
1.412% |
1.338% |
タイ |
0.447% |
0.331% |
フィリピン |
1.663% |
1.412% |
ベトナム |
1.043% |
0.998% |
インドネシア |
1.324% |
1.139% |
日本 |
-0.087% |
-0.024% |
※国際連合「Department of Economic and Social Affairs」を参照して作成
日本はご存じのとおり、人口減少社会に突入しています。このため、増加率がマイナスです。アジア諸国は程度に差があるものの、どの国も人口は増加傾向となっています。不動産投資にとって人口は需要の源泉のひとつです。人口が多ければ不動産を活用してくれる人も多くなります。この意味でも人口が増えているのは、プラス材料なのです。
アジアの各国の表面利回りを比較
最後に各国の表面利回りです。
シンガポール |
3.30% |
マレーシア |
3.72% |
タイ |
5.13% |
フィリピン |
6.13% |
ベトナム |
4.33% |
インドネシア |
7.09% |
日本 |
2.66% |
※Global Property Guide「Country Analysis-Asia-」を参照して作成
数値で見てみると、軒並み高利回りであることがわかります。フィリピンやインドネシアはこの傾向が顕著です。シンガポールやマレーシアは比較的低い利回りですが、日本よりは高利回りであることがわかります。為替リスクがあるものの、高い利回りが魅力であることは変わりません。
アジア各国の不動産投資環境を比較
アジア、とひとくくりにしても各国の置かれている環境は多様です。政治体制、治安、宗教といったことは日本にいるとなかなかわかりません。ここでは投資対象としてあげていませんが、ミャンマーのように政情不安に陥っている場合もあります。アジアの国々の状況をまとめてみました。
東京や香港に近い、シンガポール
シンガポールは国土が狭いかわりに不動産価格も高い国です。東京や香港、ソウルといった大都市に感覚が近いものがあります。それは、表面利回りが日本に近いこともその証拠です。これからの国土や経済の発展を期待して、というよりも東南アジアの経済センターとして機能することを期待して投資すべき国といえます。
計画通り進めばうまみがある、マレーシア
マレーシアには、「イスカンダル計画」という大規模な開発計画があります。これが計画通りに進めば、相当な発展が見込めるでしょう。ただし、残念ながら必ずしも計画通りには進んでいないのが現状です。なお、首都クアラルンプール周辺はイスカンダル計画とは関係のない開発もさかんな状況です。
利回りは高いものの政情不安もある、タイ
タイの利回りは5%超と日本の約2倍の利回りが見込めます。首都のバンコクも開発が盛んです。タイで最近心配なことは政情不安です。2020年7月以降デモが頻発しています。2021年5月現在でも外務省ではバンコク周辺に危険情報を発出中です。開発途上国ではこうしたことはよくあるとはいえ、長期化も懸念されます。
ベトナム
ベトナムはGDP成長率からみると、新型コロナウイルス感染症の影響をあまり受けていません。もちろん影響が皆無とはいえませんが、他の国のようにマイナス成長となっていないのです。安い賃金を求めて日本企業も多く進出しています。2021年はベトナムの成長に期待です。
竣工リスクもある、フィリピン
フィリピンは人口増加率も高く、高利回りでもあります。このため、投資対象としては魅力的です。その一方で新築物件が竣工しないという、他の国にはないリスクがあります。中古物件であれば問題ないのですが、新築物件の場合は信頼できるエージェントが必要です。
インドネシア
インドネシアは人口2.7億人と、中国、インド、アメリカに次いで第四位です。今後も人口は増え続けます。表面利回りも7%超と高利回りです。投資の中心は首都のジャカルタになります。インドネシアは東南アジアでは最大のイスラム教国です。このため、生活様式が異なります。また、潜在的に政情不安を抱えていることも不安要素です。
まとめ
今や投資マネーに国境はありません。日本に居ながらにして投資することも可能です。その一方で、その国独特のリスクや事情があることも事実。日本の常識をアジアの国々にあてはめることはできません。そうしたリスクを踏まえれば、成長著しいアジアでも投資をすることはできます。魅力あるアジアの不動産投資市場に一歩踏み出してみましょう。