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不動産投資でデッドクロスを避けるための方法とは

不動産投資における「デッドクロス」という言葉をご存知でしょうか?デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回ってしまうことで、この状態になると経費として算入できる金額が小さくなってしまうのです。このため節税効果が薄くなり、キャッシュフローが厳しくなります。節税効果は不動産投資によるメリットであり、目的の一つと考えている人も多いもの。できればデッドクロスは避けたいところです。そこで今回は不動産投資でデッドクロスを避けるための方法について、詳しく解説します。

 

デッドクロスとは

デッドクロスとは何か、もう少し詳しく見ていきましょう。デッドクロスを理解するには、まず減価償却費の意味が知っていないといけません。減価償却費とは、簡単にいうと実際に支出はしていないが、経費として計上できる費用のことです。減価償却費は建物の「法定耐用年数」と関連します。建物の築年数が、法定耐用年数に近づくほど、減価償却費は下がっていき、耐用年数に達した段階でゼロとなります。耐用年数は建物の構造によって変わりますが、大きく分けて以下の4種類があります。なお、減価償却費は建物が対象であり、土地には適用されません。

 

構造

耐用年数

鉄筋コンクリート(RC)造

47年

鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造

47年

鉄骨(S)造

34年

木造

22年

賃貸用物件として一般的に使用されている工法でいえば、木造が最も耐用年数が短く、鉄筋コンクリート造が最も長くなっています。国税庁が定めた耐用年数を元に減価償却費を計算していくのです。こうして求められた減価償却費より、ローンの元金返済額のほうが高くなってしまった状態が「デッドクロス」です。

 

デッドクロスが発生する原因とは

デッドクロスの発生には減価償却費とローン、特に元金部分の返済が関連していることがわかりました。減価償却費に関係するものは物件の構造と耐用年数です。このようにみてみると、デッドクロスが発生する原因も判明してきます。デッドクロスが起きる原因は以下の3つです。

・長期的なローンを組む

・耐用年数が短い中古物件を購入する

・元利均等返済を採用している

ひとつずつみていきましょう。

長期的なローンを組む

ローン期間と法定耐用年数は、不動産投資を始めるうえで、必ず考えなければなりません。ローン期間が耐用年数より長いと、繰り上げ返済をしない限り、必ずデッドクロスが発生してしまいます。現実的には法定耐用年数を超えても物件は稼働するもの。耐用年数を超過した物件も数多くあります。ただ、長期的なローンを組むことはその分利息を多く支払うということ。リスクが増えてしまいます。

耐用年数が短い中古物件を購入する

耐用年数が短い中古物件は、減価償却費がゼロになる期間も短くなるため、デッドクロスが発生する可能性が高まります。中古物件は確かに価格が安いことも多く、お得な物件です。その反面、修繕費がかかったり、家賃を安くしたりと苦労することもあります。中古物件を検討する際には単に価格面だけでなく、デッドクロスや維持管理費まで含めて考えましょう。

元利均等返済を採用している

元利均等返済の場合、返済が始まった当初は元金返済の部分が少なく、利息部分が多いものです。返済が進むと元金返済の部分が多くなってきます。このように元利均等返済を選択していると、返済の後期にデッドクロスが発生することが考えられるのです。元利均等返済は返済額が一定額となるため、シミュレーションもしやすいことから多くの人が利用しています。知らずにデッドクロスに陥ってしまうことも多いのです。

 

デッドクロスを防ぐ方法とは

物件によってはやむを得ないものの、できれば発生を避けたいデッドクロス。それでも物件の検討段階やシミュレーションの段階でデッドクロスの発生を予見し、それを防ぐこともできます。法定耐用年数の長めの物件を購入したり、ローン期間や負債割合を調整したりすればよいのです。デッドクロスを防ぐには、以下のような方法があります。

・法定耐用年数が長めの物件を購入する

・頭金を多めに入れローン期間を短くする

・短期で不動産を売却する

それぞれ詳細に説明します。

法定耐用年数が長めの物件を購入する

デッドクロスは減価償却費よりローンの元金返済額のほうが高くなってしまう状態のこと。このため、耐用年数が長い物件であれば防ぎやすいのは言うまでもありません。耐用年数が短い物件の場合は、頭金を多く払ってローン期間ができるだけ短くすることで、対策が可能です。

頭金を多めに入れローン期間を短くする

デッドクロスを防ぐためにはローンの期間を短く、または融資を受ける金額を少なくすることが肝心です。ローンを短くすれば、その分利息の支払い額も少なくなります。融資金額を少なくすれば、その分手元に残る利益も増えるというもの。そのためには資金を潤沢にして頭金を多く差し入れる、物件価格を吟味することなどが必要です。

短期で不動産を売却する

デッドクロスを回避するために、デッドクロスを迎える前に不動産を売却してしまう方法も良いでしょう。短期間で売却してしまえば、デッドクロスは発生しません。こうした投資スタイルならデッドクロス回避は可能です。ただし、長期保有を目的とする場合、所得税法の短期譲渡所得が問題となる場合など、短期売買がしにくいこともあります。

 

デッドクロスが発生した場合の対処方法

回避する手段があるとしても、どうしてデッドクロスが発生することがあります。デッドクロスが発生したとしても、すぐに資金が回らなくなるわけではありません。適切に対処すればデッドクロスの影響を抑えることも可能です。デッドクロスが発生した場合でもキャッシュフローを悪化させないための手段として、以下のような方法があります。

・利回りが高い物件を購入する

・青色申告控除を活用する

・減価償却可能な物件を購入する

それぞれ説明していきます。

利回りが高い物件を購入する

利回りが高い物件であれば、仮にデッドクロスが発生した場合でも、キャッシュフローへの影響を抑制できます。物件価格に対して家賃が高く設定されているため、キャッシュフローへの影響を最小限にとどめることができるからです。不動産収入は基本的に現金収入であるため、利回りの高い物件はそれだけでも助かるのです。

青色申告控除を活用する

青色申告控除を活用して、節税対策を取るのもおすすめです。仮にデッドクロスが発生して、税金の控除ができなくなったとしても、減価償却費の代わりに、様々な控除や経費を活用すれば、税金の上昇を防げます。

減価償却可能な物件を購入する

最後に、減価償却可能な物件を複数購入して、他の物件で減価償却を計上するという手があります。デッドクロスの時期になる前に、新しく減価償却できる物件を購入して、デッドクロスの影響を薄める対策があります。不動産を複数所有することが前提になるので、1棟だけの運用を考えている人には不向きな手段ですが、一つの対策として知っておくと良いでしょう。

 

まとめ

以上、デッドクロスの原因と対策について解説してきました。不動産投資において、デッドクロスは避けなければならないこともあります。とはいえ、事前に原因を把握して対策を考えておけば、予想外の事態が発生した場合でも対処できるでしょう。ぜひ今回ご紹介した内容を踏まえて、物件探しやローンの計画を検討するようにしてください。