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法定耐用年数がオーバーしていても不動産投資の融資は受けられるのか?

「不動産投資を始めたいんだけど、法定耐用年数がオーバーした物件でも、銀行の融資は受けられるのだろうか?」

 

今回はそんな疑問を持っている人に向けた記事をお届けします。

収益用不動産として紹介されている物件の中には、法定耐用年数をオーバーしているものも珍しくありません。

 

基本的に銀行の融資期間は、「法定耐用年数-経過年数」で決まるため、年数がオーバーしている物件の場合、融資が受けられないのではないかと危惧する人も多いでしょう。

 

しかし、実際には法定耐用年数がオーバーしている物件でも、融資を受けられるケースはあります。

また、銀行や地域によっても判断基準が変わってきますので、法定耐用年数をオーバーした物件だからといって、銀行からの融資を必ず諦めなければならないわけではありません。

 

では法定耐用年数がオーバーして融資を受けるのはどんなケースなのか、具体的に考えていきましょう。

不動産の耐用年数とは何か

まずは不動産の耐用年数とは何か、理解しておく必要があるでしょう。

耐用年数とは、その物件を利用するのに耐えられる期間のことです。

耐用年数には、以下の3種類の考え方があります。

 

・物理的耐用年数

・経済的耐用年数

・法定耐用年数

 

このうち不動産の資産価値に影響するのは法定耐用年数です。

法定耐用年数は、国税庁の「減価償却資産の耐用年数に関する省令」により、不動産の構造や用途ごとに定められています。

構造ごとの耐用年数を以下にまとめますので、参考にしてください。

 

【主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)】

 

木造・合成樹脂造

木骨モルタル造

SRC造・RC造

れんが・石造・ブロック造

金属造(骨格材の厚み4mm超)

金属造(骨格材の厚み3~4mm)

金属造(骨格材厚み3mm以下)

事務所用

24

22

50

41

38

30

22

店舗・

住宅用

22

20

47

38

34

27

19

飲食店用

20

19

34または41 ※1

38

31

25

19

旅館・ホテル・病院用

17

15

31または39 ※2

36

29

24

17

車庫用

17

15

38

34

31

25

19

公衆浴場用

12

11

31

30

27

19

15

工場・倉庫用(一般用)

15

14

38

34

31

24

17

※1 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるものは34年、その他のものは41年

※2 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるものは31年、その他のものは39年

国税庁ホームページ「耐用年数(建物/建物附属設備)」より作成

 

なぜ耐用年数がオーバーしていても融資を受けられるのか?

法定耐用年数を基準とした場合、定められた年数がオーバーした物件は資産価値のない建物と見なされてしまいます。

 

にもかかわらず、なぜ銀行から融資を受けられるケースがあるのか、疑問に思う人も多いでしょう。

 

理由としては、銀行が審査を行う際は、法定耐用年数に加えて、経済的耐用年数を加味するケースがあるためです。

 

法定耐用年数というのは、国税庁が定めたもので、固定資産の減価償却費を算出することを目的としています。

一方、経済的耐用年数は、建物が市場において価値を有する年数を表したもので、劣化状況などによっては法定耐用年数を上回ることもあり得ます。

 

したがって、法定耐用年数がオーバーしていても、経済的耐用年数が残っていることから、まだ建物に資産価値があると判断し、融資を行う銀行も存在するわけです。

 

なお、経済的耐用年数は不動産鑑定士が求めるもので、銀行によって基準が異なります。

地域による違いもあり、特に関西圏では法定耐用年数がオーバーしていても融資を受けやすい傾向にあります。

 

一方、都市銀行などでは法定耐用年数を重要視するため、年数をオーバーしていればまったく融資が受けられないケースもあるでしょう。

 

まとめ

不動産投資を行う場合、銀行から長期間の融資を受けられるかどうかが、重要なポイントになってきます。

 

耐用年数というと、法定耐用年数ばかりに目が行きがちですが、実際に融資を受ける際には、経済的耐用年数も関わってくることを覚えておきましょう。

 

もし法定耐用年数をオーバーした物件の不動産投資を行うのであれば、融資を受ける銀行や地域の特徴を前もって掴んでおくことをおすすめします。