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スルガ銀行が起こした不動産投資業界への変化

不動産投資に関係する人ならば、スルガ銀行という金融機関の名前を聞いたことがあるでしょう。それは不動産投資家に短期間に融資をしてくれる銀行として、また、問題を起こした銀行として、です。スルガ銀行とはどんな銀行で、不動産投資にどのようなものを残したのかをみていきましょう。

 

スルガ銀行はどんな銀行?

スルガ銀行は静岡県に本社を置く金融機関です。地方の金融機関に過ぎないはずなのに、不動産投資では全国的に有名になっています。地方銀行が全国的な知名度を得るまでにどんなことをしてきたのかをみていきましょう。やはり融資を得やすいかがポイントです。スルガ銀行の足跡を紐解きます。

不動産投資の融資に対して力を入れている

過去も、そして現在でもスルガ銀行は不動産投資に対する融資に力を入れています。それは地方銀行でありながらも全国が融資対象であることからもうかがい知れるもの。さらに物件の種類も居住用物件だけでなく、商業用のテナントビル、店舗など多岐にわたります。スルガ銀行が不動産投資に対する融資で有名なのも納得の話です。

不動産投資に対する審査スピードには定評があった

不動産投資家にスルガ銀行が重宝されたのはそのスピードです。大手金融機関では最短でも2週間かかる審査を5営業日で終わらせるなど、迅速な審査にも定評がありました。これは問題発覚後に鳴りを潜めてしまいました。ただ、当時の不動産投資家が注目を集めていたのは確かです。

 

「かぼちゃの馬車」事件とは

「かぼちゃの馬車」事件とはスルガ銀行にも関連した大きな事件でした。スルガ銀行は融資体制や融資に対する不正が問われ、一連の不正融資事件と合わせて業務改善命令が下されています。その端緒となった、「かぼちゃの馬車」事件についてみていきます。

女性専用シェアハウスへの不動産投資への融資

そもそも「かぼちゃの馬車」とは株式会社スマートデイズが運営する女性専用シェアハウスのシリーズ名。このシェアハウスを不動産投資家に購入させ、スマートデイズはサブリース契約を締結します。購入資金はスルガ銀行の融資。不動産投資家はほとんど頭金なしで物件を購入し、サブリース契約によって毎月定額の賃料を得られる予定でした。

長期間のサブリース契約が破綻

サブリース契約自体は多くの場面で利用される契約で問題はありません。不動産投資家はスマートデイズから毎月定額の賃料を受け取ります。入居者の募集や管理はスマートデイズの役割です。この仕組みが上手くいっている限り、不動産投資家は少ない労力で一定の収入を得ることができます。ところが、そもそもの計画が杜撰であり、スマートデイズから不動産投資家への賃料が滞り始めました。これが2018年1月のことです。

預金残高の改ざん、資産の水増しが発覚

これらと前後して不正融資も明るみに出ました。ひとことで言えば、融資基準が緩かったのです。本来は貸付けできないような信用の人にもどんどん貸し付けられていました。さらに預金残高を改ざんしたり、資産の水増しが行なわれたりと融資そのものの適格性も疑われ始めたのです。

運営会社の破綻

2018年4月にはスマートデイズが破綻。不動産投資家は賃料も手に入れることもできず、スルガ銀行に対する巨額の負債だけが残ったのです。一番の元凶はスマートデイズですが、スルガ銀行もセミナーで積極的に勧誘を行うなど、事件の片棒を担いでいました。こうしてスルガ銀行も監督官庁や第三者委員会、そして世間からも糾弾を受けたのです。

 

不動産投資への不正融資事件とは

「かぼちゃの馬車」事件で大きなダメージを受けたスルガ銀行。その後も不正融資事件の発覚は続きます。ここでは、大阪市の物件を中心とした不正融資事件についてのご紹介です。この事件、2021年8月時点は未解決であり、係争中の案件となります。

不動産会社の不正が発端

ある不動産投資家がスルガ銀行から融資を受けました。返済額は収入を大きく下回る水準。十分に返済できるはずでした。ところが、実際の収入は返済額よりも少ない額だったのです。これは一義的には仲介をした不動産会社のミスといえます。ただ、これはミスというよりも意図的なものだった可能性があるのです。

不動産会社とスルガ銀行が訴えられた

被害者である不動産投資家は、資金計画や物件概要を不動産会社が改ざんしたとして提訴しました。それに加えてスルガ銀行もグルだったとして提訴したのです。「かぼちゃの馬車」事件でスルガ銀行は被害者に対しての救済措置に協力しました。ただ、それ以外の不正融資については被害弁済に応じていないため、こうした流れになったものと推測されます。

 

スルガ銀行のその後

「かぼちゃの馬車」事件をはじめ、多くの不正融資事件が発覚したスルガ銀行。これまでのように順調に業績を拡大していくことには無理があります。監督官庁からの指導、世間の目も無視できません。ここでは「かぼちゃの馬車」事件以降、スルガ銀行がどのような流れをたどったのかみていきます。

業務改善命令により不動産投資への融資停止

金融庁はスルガ銀行に対して業務改善命令を発しました。それは6カ月の不動産投資への融資停止を含むものでした。これによって不動産投資の融資に強いスルガ銀行は一度完全に不動産投資に対する融資が停止してしまったのです。その後、融資は再開しているものの、かつてのように大々的に融資を行なっていません。

創業者一族の株式売却へ

スルガ銀行は創業一族である岡野氏の影響力が強い銀行でした。株式も相当割合を創業者一族で保有していたのです。その膨大な株式も一連の不祥事の中で売却されました。創業者一族による支配が不正融資の温床、とみなされたのです。創業者一族の株式は売却され、その影響力は減退しました。

 

スルガ銀行が残したもの

2018年の「かぼちゃの馬車」事件から3年余りが経過しました。スルガ銀行も現在は粛々と営業を続けています。今の落ち着いた状況をみると、何事もなかったかのようです。それでも一連のスルガ銀行の不祥事は大きな爪痕を残しました。「かぼちゃの馬車」事件をはじめとする、スルガ銀行の動きが日本の不動産投資の世界にどんな制度や教訓を残したのか見ていきます。

サブリース新法の制定

「かぼちゃの馬車」事件ではサブリース契約が大きな問題となりました。ただ、サブリース契約はこれ以前にもたびたび問題となることがあったのです。こうしたことも踏まえて2020年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が制定されました。サブリース契約について説明の義務化などが盛り込まれています。

自分の基準を持つこと

投資は自己責任。何度も言われてきた言葉です。その意味では、銀行や不動産会社のセールストークを鵜呑みにして「かぼちゃの馬車」に投資した不動産投資家も自己責任、と言えなくもありません。使い古された言葉ではありますが、自分なりの基準を持ち、少しでもあやしい話には首を突っ込むべきではありません。

契約内容を精査すること

同じく、契約内容を精査することも必要です。契約書は細かい文字で一杯。読むのも億劫になります。ただ、きちんと読んで理解しておかないと思わぬ落とし穴にはまるもの。不動産会社や金融機関が差し出した契約書にそのまま印鑑をつくことは避けましょう。契約書はよく読み込み、納得したうえで調印したいものです。

 

まとめ

「かぼちゃの馬車」事件などの一連の騒動から3年あまりが経過しました。新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとして、不動産投資に与えるインパクトの大きなイベントがいくつも発生しています。スルガ銀行の騒動を教訓にすれば乗り越えられるトラブルもあるもの。ある騒動を他人事ととらえず、もし自分の身に起きたらと考え、事にあたっていきましょう。