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不動産投資における決算書の着目ポイント

不動産投資では、融資を受ける際や納税をする場合に決算書を作成します。特に融資を受ける場合には、審査を通りやすい決算書が必要です。このためには、融資担当者が決算書のどこに着目するかを知っておくことも大事になります。ここでは、決算書の着目ポイントについて確認しましょう。

 

損益計算書が黒字かどうか

まずは損益計算書から確認していきます。見栄えの面でも実際の損益の面でも、黒字と赤字の差は歴然です。稼働初年度ならばともかく、複数年で赤字が続くのは不動産投資としても再考の必要があります。まずは単年度の黒字を目指しましょう。

 

重要なのはキャッシュフロー

損益計算書が黒字でも安心はできません。キャッシュフローも重要なのです。簡単な例を示します。

①売上

2,000万円

②経費

1,200万円

③減価償却費

700万円

④税引前当期純利益

①-②-③

100万円

このような損益計算書がある場合、税引前当期純利益は黒字です。ところがここに元本返済まで考慮すると結果が変わることも。ここで元本返済額は毎年1,000万円とします。元本返済額を考慮すると、キャッシュフローはマイナスとなってしまうのです。損益計算書上は黒字であっても、キャッシュフローがマイナスになる場合もあります。損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書もあわせて確認しましょう。

①税引前当期純利益

100万円

②減価償却費

700万円

③元本返済額

1,000万円

④税引前キャッシュフロー

①+②-③

▼200万円

 

自己資本比率の多さ

自己資本比率は多いほど健全とされています。総資産が1億円として、自己資本が8,000万円の場合と1,000万円の場合では前者の方が健全な経営です。自己資本比率は自己資本÷総資産で計算できます。先ほどの例では、前者が自己資本80%、後者が10%です。当初は自己資本比率が低くても、徐々に高めていくような戦略が必要となります。

 

何年で債務を返済できるか

債務を何年で返済できるかも重要な着目ポイントです。これを債務償還年数といいます。もちろん、早く返済できるほうがより健全です。債務償還年数は以下の算式で計算します。

債務償還年数=(借入金-現金)÷(税引後利益+減価償却費)

①借入金

1,000万円

②現金

200万円

③税引後利益

100万円

④減価償却費

700万円

⑤債務償還年数

(①-②)÷(③+④)

10年

上記の例では、償還年数は10年となります。手持ち現金を増やしたり、利益を増やしたりして償還年数を減らしていきましょう。

 

債務返済の比率

収入に対して借入金の返済額が大きいと不安定な不動産投資となります。返済比率が大きいと、空室等が増えて収入が減った場合に返済が苦しくなったり、返済不能に陥ったりするからです。借入金の返済比率は、家賃収入から減価償却費以外の経費を引いた金額の30%以下が理想的で、高くても40%以下に抑えることが目安となります。

【年間の債務返済比率】

借入金の年間返済額<(家賃収入―減価償却費を除いた経費)×30%~40%

 

継続して安定的な利益を得ているか

決算書はある時点での財務状態を示したもの。単年度だけ黒字であってもそれだけでは不十分です。融資を受ける場合にも金融機関は複数年の決算書を求めてきます。不動産投資は毎期安定した利益を得ていることが理想的です。3期程度は安定して利益を得ていることを目標にしましょう。

 

まとめ

決算書はいわばその年度の不動産投資の成績表です。成績表をみれば自分の苦手な教科がわかるように、決算書を読み込めばどの点を強化すべきかわかります。決算書というと難しい数字が並んでいるようにも見えるものの、数字の意味さえわかればそれほど難しいものではありません。決算書の数字の意味をしっかり押さえてよりよい不動産投資に役立てましょう。