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不動産投資事業の法人化にはどんなメリットとデメリットはあるか

法人として事業を行っていると、手広く大規模に事業を行っているイメージがあります。法人化には多くのメリットと同時にデメリットもあるのです。それらは主に会計や税務の面でも現れてきます。ここでは話題は、法人化のメリットとデメリット、法人化の適切なタイミングについてです。カギはやはりどれだけの収入が見込めるかにかかってきます。

 

法人化のメリット

日本では多くの人が個人事業主として活動中している一方で、国内には約170万社ともいわれる法人が存在しています。法人化しているのは、事業を行う上で会計上や税務上のメリットがあるからです。不動産投資の観点から、法人化した場合のメリットには計上できる費用や税率でもメリットがあります。不動産投資業を法人化した場合のメリットについて見ていきましょう。

計上できる費用が多い

法人化したほうが計上できる費用は多くなります。具体的には、人件費、保険料、退職金などです。こうした費用が必要になり、支出が見込まれるのであれば、法人化することによって経費に計上することができます。これらの費用は個人事業主の場合は経費として認められていません。

税率が優遇

所得税の場合、税率は累進課税、つまり所得が多いほど税率も高くなります。一方、法人税は2020年で一部を除いて23.20%でほぼ一定です。単純に税率だけで比較すると、課税所得が900万円超で所得税は法人税の税率を超えてしまいます。所得が多くなれば、法人のほうが有利なのです。

相続対策にもなる

個人事業では資産は個人の所有物です。相続が発生すると、相続税の対象となってしまいます。一方、法人であればこうした問題は発生しません。代表者が死亡して他の人が代表者となったとしても、それは代表者の変更であって相続ではないからです。法人の財産は相続税の対象とならないため、法人化することは相続対策にもなります。

 

法人化のデメリット

会計や税務上で法人化にはメリットがあることがわかりました。その一方で法人化によるデメリットもあります。赤字でも納税義務がある、個人事業主の特典が使えなくなるなどです。法人化のデメリットについて考えていきましょう。

赤字でも法人住民税納税は必要

法人住民税のうち、均等割部分については赤字であっても納税義務が発生します。東京23区内で、資本金1,000万円以下かつ従業員数50人以下であれば、年間7万円です。個人事業主の場合はこうした義務はありません。法人化すると必要となる経費も増えるのです。

青色申告が使えなくなる

税務署に申請し、一定の帳簿を備えるなどすれば、65万円の控除が受けられるのが青色申告制度です。個人事業主の多くの人が利用しています。法人化すればこの青色申告は使えなくなるのです。青色申告は納税者に帳簿をつけさせるためのインセンティブの一面があります。こうした制度は法人にはないのです。

副業とみなされるおそれ

主にサラリーマンで副業している人の話になります。法人化して代表になることは、いわば社長就任です。そうなると、雇われているサラリーマンの身分と社長の身分のふたつの立場ができます。これは会社によっては就業規則に違反するおそれも。また副業とみなされる可能性もでてきます。

 

いつ法人化すべきか

多くのメリットとともにデメリットも存在する法人化。この法人化は不動産投資を始める時点からした方がいい場合と、一定の収入が見込まれるようになってからがよい場合があります。法人化のタイミングについてのお話しです。

不動産投資開始時から

不動産投資開始時からある程度の収入が見込める場合は、投資を始めた当初から法人化することがおすすめです。どこかの段階で個人から法人化すると、物件の移転が伴います。法人へ物件を移転する際の登録免許税、不動産取得税が必要なのです。個人として物件を取得する際と法人へ移転する際の2回納税する必要があります。これはもったいない話です。

一定の収入が見込まれてから

課税所得が900万円超で所得税率が法人税率を上回ることはお話ししました。これより所得が低いと法人税率のほうが高くなり、法人化するメリットを十分に受けることができません。当初の収入が見込めない場合には急いで法人化する必要はないといえます。

 

まとめ

主に会計、税制の面で法人化のメリットとデメリットを見てきました。これ以外にも、法人化したほうが対外的な信用を得やすいなどのメリットもあります。ある程度の収入が見込めるなら法人化を検討すべきです。一方で性急に法人化するのはメリットを十分に受けられないことから慎重に考えましょう。いずれにしても法人化は税理士などに相談のうえ、決定すべきです。